本当に上手いギタリストの演奏からは、ソロを弾いていても、シングルノートのオブリガートを弾いていても、コード弾きやアルペジオを弾いていても、ちゃんとリズム感を感じさせてくれて、曲調によってタイム感を微妙に調節しながらグルーヴ(ノリ)を生み出すことができます。
私もそうですが、日本人はどうしても音楽のバックグランド的に、このグルーヴ感のある演奏をするのが苦手な傾向にあります。
黒人やラテン系のミュージシャンのような独特な天性のリズム感を持ち合わせていないので、もうとにかく「練習」をして身に付けるしかありません。
リズムギターがとても上手いアース・ウインド&ファイヤー(以下:EW&F)のアル・マッケイ(以下:アル)が雑誌のインタビューでグルーヴに関して語ってくれた記事があったので一部を紹介したいと思います。
(以下:一部記事を引用)
インタビュアー:グルーヴを作り出す時に、重要なことはなんだと思いますか?
アル:バンドをグルーヴさせる上で重要なのは、ギタリストとドラマーだよ。
ドラマーがバンドをコントロールしているから、僕はドラマーをコントロールしている(笑)!
だから僕はライブでドラマーのすぐそばに立っているんだ。
EW&Fの時も同じだった。
スタジオでは、僕のグルーヴに合わせてみんなプレイしていたよ。
それがお決まりのパターンだった。
ギター・パートが基盤となってみんなを1つにまとめることで、まわりの音がすべて素晴らしいものになったんだ。
インタビュアー:プレイ・スタイルを形成するきっかけはありましたか?
アル:長年にわたって培ってきた。
僕に初めてグルーヴのあるプレイを教えてくれたのは、アイク・ターナーじゃないかな。
そこから始まって、学べる人からなら誰からだって学んだよ。
ジミー・ノーランからレッスンを受けたこともある。 彼のことを知っているかい?
ジェームス・ブラウンと一緒にやっていた人だよ。
インタビュアー:あなた自身が元々ドラマーだったことも影響しているんでしょうね?
アル:そうだね。それで、グルーヴがドラムから生まれることを知ることができた。
あとは、若い頃にジェームス・ギャドソンと一緒に、チャールズ・ライト&ワッツ・103rd・ストリート・リズム・バンドに参加する機会があったんだ。
彼は素晴らしいドラマーで、多くのことを学んだ。
そこから、今の自分のスタイルを完成させたのさ。
おそらく弾いている時は、ギターよりもドラムのことを考えている。
メロディーよりも、常にパーカッシブであることを意識するんだ。
インタビュアー:ちなみに普段はどんな練習をしていますか?
アル:1年のうち9ヶ月間はツアーに出ているから、練習する時間はなかなかとれないね。
だから、時々スケールを弾いたり、ドラム・マシンに合わせてグルーヴするくらいかな。
インタビュアー:昔、グルーヴを習得するためにどんな練習をしましたか?
アル:昔は、ルーティンの練習があったね。
ツアーにもメトロノームを持って行ったよ。
ツアー中も1日に1時間ほど、ホテルの部屋で練習していた。
サックス奏者に来てもらって、メロディーやスケールを合わせたりもしたね。
インタビュアー:リズム・ギターではミュートが重要になると思いますが、ミュートのコツを教えてもらえたらうれしいです。
アル:ミュートのやり方は曲にもよるね。
でも僕はほとんど独学で、悪いクセがたくさんついているから、あまり参考にならないと思う(笑)。
僕のような弾き方だと、速弾きはできないんだ。
1つのテクニックを長年使っていると、他のスタイルが弾けなくなってしまうんだね。
インタビュアー:最後に、あなたのようなグルーヴギターを弾きたいと思っている日本のギタリストにメッセージをお願いします。
アル:練習すること。速く弾くテクニックばかりに、あまり気を取られないように。
あと、ジェームス・ブラウンやモータウン、EW&Fのレコードを聴くこと。
僕はそうして耳で聴いて覚えたんだ。
目の前に譜面を置かれても困ってしまう。
本当にグルーヴを習得したかったら、グルーヴのある音楽を聴くことが1番だね!
メロディーよりもパーカッシブ(ドラム)を意識する点が印象的でした。
最後にアース・ウインド&ファイヤーの代表曲を紹介します。
代表曲!
「September」
多分どっかで聴いたことのある曲だとは思います。
バンド編成的に管楽器が目立ち、ギターは完全に裏方的な存在ですが、リズムギター(伴奏)に徹したプロの巧みです。
(練習用の動画もどうぞ)
単音カッティングの良い練習になります。
個人的には弾いていて本当に楽しいです。