ジャズギタリストとして活躍している小沼ようすけが監修し、有名なスタンダードナンバーをホップ・ステップ・ジャズの3段階で徐々にアレンジが複雑になっていくものを楽譜にしたものです。
ギター1本だけで曲のアレンジが施されているので、メロディーとコード感などを体感しながら学べるので、勉強になるかなと思い買ってみました。
収録曲は、全15曲です。
・いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)
・フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(Fly me to the moon)
・ふるさと
・ムーン・リバー(Moon River)
・酒とバラの日々(The Days of Wine and Roses)
・スマイル(Smile)
・煙が目に染みる(Smoke Gets in Your eyes)
・この素晴らしき世界(What a Wonderful World)
・ミスティー(Misty)
・星に願いを(When you wish Upon a star)
・サマータイム(Summertime)
・フィール・ライク・メイキン・ラヴ(Feel like Makin love)
・赤とんぼ
・マイ・ワン&オンリー・ラヴ(My one and Only love)
・スペイン(Spain)
どれも一度は耳にしたことがある有名な曲ばかりです。
個人的には、大好きな曲である、「Fly me to the moon」と「Moon River」の2曲があるだけで十分買う価値のあるものでした。
ギターマガジンの連載の中での企画のようで、約2年間かけて撮り続けたものの集大成となっています。
本誌の中で印象に残っているコラムがありましたので、一部を紹介したいと思います。
自然が教えてくれること!
サーフィンというスポーツが旅というきっかけを与えてくれるため、今まで沖縄、種子島、バリ、ハワイ、台湾、プーケット、カリフォルニアなど色んな海を見て自然を感じつつギターを弾いてきましたが、奄美大島はどことも違う、ありのままの自然と人々が絶妙なバランスで共有している貴重な島でした。
満月の夜に浜辺で寝っ転がりながらギターをつま弾く。
奄美の美しい自然たちの前では余計なテクニック、高度なハーモニーは一切必要なくて、一音一音シンプルなメロディーを弾くだけで"ああギターってほんとにいい楽器だな"と思わせてくれるんです。
煮詰まりかけた時に自分を原点に戻してくれるのは、教本でもなく、刺激的なライブでもなく、ありのままの自然。
自然のリズムに合わせてアジャストすることによって、複雑なプレイもナチュラルかつシンプルな感覚で弾けるような気がします。
もし、"間"がうまくとれないな...と悩んでるギタリストがいたら、一度波音と一緒に、もしくは山で小鳥のさえずりや木のざわめきとともに弾いてみればどうでしょう。
いかに自分が焦っているかわかると思います。
自然はほんとに様々なことを教えてくれます。
そんな綺麗な景色のところでギターを弾いてみたら気持ち良さそうですね!
煮詰まったらライブを観よう!
4月後半の渡辺香津美さん企画のギター・セッションに始まり、5月後半の自分のカルテットまで怒涛の日々を過ごしていました。
ソロ、ギター、デュオ、ギター3人、ピアノとデュオ、パーカッションとデュオ、ビッグ・バンド、歌とのデュオ、オルガン・トリオ、ギター・カルテットという様々な編成で演奏し、日々たくさんの新しい刺激をもらえて幸せな時間を過ごしております。
編成によってギターの役割は変化します。
デュオものだと時にベースやパーカッション的なプレイや、バッキングやアドリブ・ソロの多彩なアプローチが必要とされるし、バンド編成でも鍵盤が入らない場合、入る場合とで変わってきます。
自分がアンサンブルの中でどんな役割になるのかを瞬時に判断しなければなりません。
その野性的な感覚を、素晴らしいミュージシャンたちは必ず持っています。
考えなくても自然に出てくるようになるためには、たくさんのいいライブを観たり音楽を聴いたり、頭に浮かんだものをすぐにアウトプットできるために日々テクニックを磨いたり、楽器の可能性を探るために格闘したりとやるべきことは多々ありますが、逆に好きなら自然とやれてしまうことばかりでもあると思います。
とにかく必要なのはモチベーションを保つこと。
煮詰まったら外に出てライブを観ることをオススメします。
確かに生のライブは、色々な良い刺激をもらえるし、その場でしか感じることのできないエネルギー(ヴァイブ感)を全身で感じることができます。
ギターの練習とかで煮詰まったりしたら、発想を変えるために外に出ることはとても大切だと思います。
この教則本の巻末には、スケール練習やコード・トーンの実践的な練習メニューも記載されているので、この1冊をちゃんとやり込めばかなりギターの腕も上がると思います。
私も早速練習します。
そんな読み方ではもったいない、ギター教則本などの取り扱い注意点!
小沼ようすけのプレイの特徴!
フィンガーピッキングのテクニックが洗練されており、高速なラインや複雑なフレーズを弾きます。(以前はピック弾きだった)
ジャズの伝統的な要素を尊重しつつも、現代的なアプローチも取り入れています。
メロディー重視なフレーズやモダンなハーモニー、リズムの複雑さなど多様な音楽が融合されたスタイル。
あとはジャズの本質の部分であるアドリブにおいても個性を発揮します。
即興で生み出す独創的なフレーズやアイデアが詰まっており、他の楽器の方からのインスピレーションなんかも大事にしていることが伝わります。