長い歴史を誇るヨガには八支則(はっしそく)という基本概念があり、この8つのステップを辿り、日々練習をしていくことで本来の自分自身とつながることができ、大きな幸福感を味わえると言われています。
前回までの2つのステップでは、(1:社会で生きていくためにした方がいいこと)と(2:自分自身の成長のためにした方がいいこと)を紹介しましたので、残りの6つのステップを一気にいきたいと思います。
3、アーサナ(Asana):ポーズの練習をする!
ヨガのレッスンを受けていると、「アーサナ」という言葉をよく先生が口にします。
アーサナと言うと、今では動きの中で行うヨガのポーズとして認識されていますが、元々の意味は瞑想をするためのポーズ(坐法)のことを指しています。
しかし、坐法を組み、瞑想をする習慣を持っている人は、現代ではお坊さんや修行僧くらいしかおらず、少ないです。
そうした状況もあり、反対にどんな姿勢をしていても瞑想ができるような心を保つために進化しました。
ヨガでは、雑念を極力少なくしていこうとすることを「浄化」と言います。
ポーズの練習では、外側(体)からのアプローチでダイナミックに動くことで、自分自身を浄化していくプロセスです。
快適で安定していることが、アーサナを行う際の目標とされています。
4、プラーナーヤーマ(Pranayama):呼吸をコントロールする!
呼吸法。
アーサナで身体を快適に安定させることができたら、呼吸法によって、プラーナ(呼吸)を静かに穏やかに整えていきます。
プラーナとは生命エネルギーとも言われ、私たちの体は、身体の器官とプラーナが働くことで動いています。
呼吸を静め、安定したアーサナが取れるように練習するのは、このプラーナを整えるため。
プラーナと相互作用の関係にある心を整えるため。
自分自身に静寂をもたらすことで、より感覚が研ぎ澄まされ、内観(内面を見つめる)しやすい状態になります。
5、プラティヤーハーラ(Pratyahara):外向きの感覚を閉ざし内面を見つめる!
制感、心は五感とともに動きます。
いい音楽を聴けば心は喜び、美味しい料理の匂いがすれば食べたいと思うが、それに身を任せていると集中は得られません。
感覚を認識する心をきちんと自分で扱えなければ、自分自身が振り回されてしまいます。
自分の心の癖を知り、外部の刺激に影響されないよう感覚をコントロールし、ダーラナ(集中)の準備をする。
6、ダーラナ(Dharana):集中する!
1つの対象に集中すること。
動きがシンプルになるほど、意識が外側へと離れて行きがちになります。
そのため、例えばイメージしたものの元をたどり、すべてが真我や宇宙と一体で、支え合っていることへの感謝に意識の方向を定めること。
身体・精神ともに安定して落ち着き、集中がある程度できるようになると瞑想状態へと入っていきます。
7、ディヤーナ(Dhyana):瞑想する!
ダーラナの練習を続け、それが切れ目のない宇宙全体への感謝となった時、立っていても座っていても、そうした考えをしている時そのものが瞑想になります。
何にも心が捕われず、ものごとを全体的に認識しながらも、それに心をとどめていない自由な心身の状態。
自分自身に対する深い認識を持ち、自分自身が何者かを知り得ています。
8、サマーディ(Samadhi):三昧の状態になる!(夢中になる)
深い瞑想状態。
小さい波(個人)が海(真我・宇宙)とつながっていない時などないと、まったく矛盾なく思えたら、それがサマーディの体験。
自分と、自然や宇宙全体の一体を感じる時、自我としての自分の心は止滅します。
そうした自分自身に対する深い理解を体得により、苦悩からも解放され自由で幸せに満たされた状態。
以上。
いかがですか?
私の解釈では、大人になる過程で身にまとった鎧(思い込みや自我やプライド)などを脱ぎ捨て、ありのままの自分でいることに自然と感謝できる状態で生きていける人が、本当の意味でヨガをマスターしたのだと思っています。
まだまだその境地には至りませんが、少しづつ近づいていきたいと思っています。